京都御所の紫宸殿の南と大文字山(水彩画)

ゆば長今ハ昔

最も身近な私たちの暮らし。静かにゆったりと流れる時間の中で、暮らしの中のシーンも移り変わりました。
一年を通して季節ごとの家の行事、仕事で使う何気ない道具の姿、身に付いた小さな工夫。そうした中に、決して贅沢ではないけれど本当に上質な暮らしがありました。
手間を惜しまず、ていねいに。
京都の町に暮らす私たちの日々の生活にも、今と昔が息づいております。

ゆばを作る

京都のゆば作りの修行は、昔は、丁稚奉公からがスタートでした。10年、20年と時間をかけて一人前になります。最初は道具や作業場の洗い物から始めて、ゆばを上げるのには5年ほども先のことです。一人前になれば、商品の配達だけではなく、売り込みにも出掛けられるようになります。今の時代には、とても想像の出来ない、気の長い修行ですね。弊社の創業者も、そうして一人前になったと聞いております。

京都の町(水墨画)

大豆と呉汁

呉汁を作る様子(水彩画)

一晩漬けた大豆を、
石臼に入れて呉汁を作る

一晩、水に浸けた大豆から呉汁を作るには、今ではグラインダーを使いますが、昔は石臼を用いておりました。
厚さ15cm程の石を2枚使いました。大豆の熱が上がらず、粉砕断面の良いのが特徴です。

布ベルトで回す石臼(水彩画)

布ベルトで回す「 石臼 」

石の目が減ってきますと、石工(いしく)さんを呼んで、目立てをしてもらいます。手回しの頃もありましたが、その後、布ベルトを使ってモーターで回しました。使い続けますと、この布ベルトが切れたそうです。そんな時には、ステプラーの針の様な形の金具(ムカデといいました)で繋いでは、大切に使っておりました。


ゆば造りの様子(水墨画)

「統計京都」 2003年3月号より     

ゆば長 二代 長井啓一 文     

ゆば長