
ゆばの出来るまで
みなさん、ゆばを召し上がられた事はありますか。
豆腐とゆばの違いはご存知でしょうか。ゆばも豆腐も大豆から作ります。
生ゆば
湯葉(ゆば)を作るには、まず、国産大豆(100%)の選定から始まります。その時期に最も適した国産大豆品種と、当社の地下60mより汲み上げた、清冽な地下水だけを材料にしています。前日より大豆を計量して洗い、翌朝早くより豆乳作りを始めます。
毎日、その朝一番あがりの湯葉の味を確かめる時は、いつも気持ちが張り詰めます。
「湯葉の作り方」には、いくつもの工程があります。それぞれの作業を大切に気配りすることが、最後に出来る湯葉(ゆば)の出来・不出来を左右します。ひとつの仕事も揺るがせにしない姿勢、これが初代よりの訓えです。
まず、良質の国産大豆(100%)を洗浄してから、夏期では8時間程度、冬期は一夕夜ほど、京の地下水に浸しておきます。
ただ今、滋賀県産大豆に、富山県産大豆を添えて使用しております。 京都に近いエリアの大豆を選びまして、京都の風土に息づく「京ゆば」を作るために。




呉汁に水を加えて釜で煮た後細かな布目の袋で濾過して「 豆乳 」 と 「 おから 」に分けます。(この豆乳に、苦汁(にがり)を入れて固めたものが豆腐です。)
「 おから 」 のことを 「 卯の花 」とも呼びます。白くて、はらはらとした様子が、この花の蕾をイメージさせるのでしょう。



豆乳を更に細かな目の透し網で濾過しながら、平鍋に注ぎます。
湯葉(ゆば)は、この豆乳を、二重底の平鍋の底から、ふっくらと蒸気の熱で湯煎して加熱します。(平鍋はタタミ4~5畳くらいの長方形、深さ 5cm弱の浅いもので、中に仕切り枠を組み入れておきます。)
従来は(2006年夏までは)、この仕切り板も檜材や桜材を使って、私達が、鑿(のみ)と鉋(かんな)を使って、木取りを計算して、手作りしておりました。職人として、使う道具は自作するという、祖父の訓え。こうした大工仕事もまた楽しい作業のひとつでした。
残念ながら現在は、衛生面への配慮から木材の仕切り板の使用を控えております。
分厚くなっては美味しくないし、慌てて薄すぎると失敗します。1回すくうと、もうすぐに次の膜が張り出すので、ゆっくりしている暇はありません。
一枚、一枚、同じ様に、美味しく、扱いやすい湯葉(ゆば)を作る事は、一切無駄のない一連の動作を崩さないことです。簡単な様で、簡単ではありません。湯葉(ゆば)を作る仕事の中でも、この湯葉を引き上げるのは難しく、それでいて奥が深く、面白くてやめられないことです。
乾燥ゆば・加工ゆば
京都の伝統的な湯葉はと言いますと、生湯葉(ゆば)を乾かした乾燥湯葉(ゆば)でしょう。
「乾燥湯葉」には、乾燥させた湯葉(ゆば)を巻き上げた「切小巻ゆば」、大原女(おはらめ)の運んだ束ねた柴に似せて昆布で巻いた「大原木ゆば」、ゆばを引き上げる度に竹串に付いた「とゆゆば」、結びゆば、平ゆば等があります。これらは、いずれも「巻いたり」、「結んだり」、「重ねたり」といった、その作業や形によって名付けられております。
こうした、乾燥湯葉(ゆば)の包装には、昔から伝統的に、湿気を防いで通気性のある、セロファン紙が用いられてまいりました。当店では、おはらぎゆばは今も昔ながらの方法で、アラビアゴムを溶いた糊を使い、セロファンで包装しております。これはこれで、雅趣のある風情がございます。
この「おはらぎゆば」の加工と包装の作業を、一般の皆様にもワークショップとして、体験して頂いたことがございます。
その時の様子は、こちらの 「ゆば長つれづれ手帖」 をご覧ください。( 京都府主催 第2回 《 きょうの「食」まなび塾 》 2012年9月22日 )
